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雪合戦 Pear:桃城

「「「「「「「「「じゃんけんぽん!!」」」」」」」」」
「おっしゃっ!」
そう言ってガッツポーズをする桃城。
先輩、行きましょう!」
「うん!」
桃城のそばに駆け寄り、にこりと微笑むに全員がめまいを覚える。
そんなを桃城が連れて去っていく。
・・・いつの間にか手なんか繋ぎながら。

「桃のやつ・・・・。どうする手塚。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
神妙な顔つきで手を繋ぐ二人を見つめる大石と手塚。
二人がそんな話をしているうちに、どんどん桃城達は遠ざかっていく。
「・・・・取り敢えずほかのペアを決めるぞ。」
腕を組んでいた手塚がその腕を解くと、少し気落ちした者達が集まった。


「・・・・桃・・・足、もう大丈夫?」
しゃがみ込んで、せっせと雪玉を作りながら話すと桃城。
「大丈夫っスよ先輩。俺じょーぶっスから。」
そういえば・・・と、桃が少し前の話をし始める。
桃城が足を捻挫したとき。痙攣をおこしたとき。
全ての時においてが必死で手当てをしていたこと。
その後も、ずっとずっと傍に居てくれた事。
それを聞きながらだんだんと赤くなっていくを眺めていた桃城の表情が緩む。
先輩、俺嬉しかったんスよ。」
「え?」
出来た雪玉を足元に転がしてが桃城を見上げる。
そんな表情も、桃城にとって犯罪的に可愛い。
「先輩が俺の傍に居るってだけで嬉しかったっス。」
いつもに向ける笑顔でそう言って立ち上がる桃城。
「そう言ってもらえると嬉しい!」
にっこりと桃城に微笑みかける、それに応える桃城。
そんな二人を見て、ものすごい勢いで雪玉を作っているこの男。
そう、海堂薫。
何しろ、大好きな先輩とあの桃城が仲良く笑いあってるんだから許せない。
許せないったら許せない。
その横で眼鏡を光らせて桃城たちを観察している海堂とペアの乾貞治。
乾は何をしているかと言えば、なにやら怪しげな笑みを浮かべ、雪玉を握り締めていた。

手塚の一言で始まった雪合戦。
そしてなぜか桃城に集中する雪玉。
は、桃城への雪玉の勢いに押されて半ば呆然と見ていた。
「うぉわっ!!」
桃城が一つの雪玉をよけた。
「ぶっ・・・・・。」
するとその先にはが。
額の辺りに当った雪玉の残骸はずるりと滑り落ち、前髪からはぽたぽたと雫を落としていた。
先輩!大丈夫っスか?!」
桃城が駆け寄ると、が頷く。
雪のせいで濡れた前髪との表情とを見て桃城の鼓動が跳ね上がる。
そんな桃城に気づいていないのか、が桃城の肩にかかっていた雪を払う。
「桃・・・・・?」
「な・・・なんスか?」
桃城の肩に手をかけたままクスリと笑う
どうやら何かを思いついたようで。
「・・・・・・反撃開始。」
「・・・・了解っス。」

次々と雪玉を投げると桃城。
「やったなマムシ!」
「てめぇ・・・もういっぺん言ってみろ!」
何だか海堂と桃城の一騎打ちのようになっているが。
さり気なくを守っているあたり、桃城に多少の余裕はあるようだ。



そうして、夕暮れ時になるころには、雪は大半が溶けて無くなっていた。
「楽しかったね、桃!」
「もう一回やりたいっスねー!」
部室の中で皆が帰った後、楽しそうに話すと桃城。
濡れてしまったジャージが乾くのを待って、二人壁に背をつけて並んで座る。
「うん!・・・ねぇ桃。」
「なんスか?」
少し落ち着きの無い様子でが桃城を見上げる。
「雪合戦始める前さ、桃、私が傍に居て嬉しいって言ってくれたじゃない。」
・・・・・まさかそんな言葉がから出るなんて思いもよらなかった。
だってあの時は、は普通の会話のように流していたのだから。
「先輩・・・・。」
「桃が怪我した時、私手当てしながら凄く慌ててて、桃に落ち着けって言われたんだよね。」
くすくすと恥ずかしげに笑って、がちょっとだけ桃城の方に寄る。
触れるか触れないかの肩の位置に、自然に意識が行ってしまう。
「俺の親指もって凄く慌ててましたよねー。」
「だって痙攣って足の親指引っ張れば直るって乾が言ったけど、何か痛そうでさ・・・・。」
ぎゅっと目を瞑って自分の処置をするが可愛くて、余計惚れてしまったのは間違いない。
「そういえば先輩、俺が捻挫したときもすごかったっスよね。」
「だってどうしたらいいかわからなかったんだもん。テープが指にくっつくしさ・・・・。」
半ば泣きながら桃城の足をテーピングするのあの表情は、桃城にとっては忘れられない。
「その後はずっと隣に居てくれましたね。」
「だって一緒に試合見たかったんだもん。・・・同じテニス部でしょ?」
見上げるの髪を桃城が梳いて、笑った。
「もちろんっスよ。・・・先輩が良ければずっと傍にいたいっス。」
少し目を見開いたの表情が、桃城の言葉に隠された意味を悟ったようだ。
真っ赤になったの顔をじっと見つめて、答えを待つ桃城。
「私・・・・も、傍に、いたいよ・・・?」
消え入るような声でがそう言うと、桃城の肩に額をつけた。
せんぱ・・・・。」
でいいよ。敬語も要らない。だって・・・桃だもん。」
首の辺りに当るの柔らかいさらさらの髪が少しだけ動く。
耐え切れず、桃城がを抱きしめた。 それに驚いたものの、すぐに桃城の腕の中に落ち着いた
きゅっと桃城の少し湿ったシャツを握る。
。」
「何?桃。」
桃城の胸から顔を上げれば、降って来た口付け。
優しくて、包み込むようなもの。
その唇がお互い名残惜しそうに離れると、桃城がゆっくりと口を開く。

「好きだ。」






翌日。

手塚がコートに着くと、そこはとんでもないことになっていた。
桃城が頬を真っ赤に染めたを抱きかかえ、それをレギュラー陣が本気で追いかけている。
「桃ぉ〜!きっちり教えてもらうからな?!」
「いやっスよー!は俺のもんっスから!」
菊丸の話の内容からすると、どうやら争奪戦の勝者は桃城であると言うことが容易にわかる。
「あぁ手塚。桃ってさ、やっぱりいい度胸してると思わない?」
いつの間にか横に居た大石と不二、そして越前に顔を向けるとすぐにと桃城に視線を向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「ねぇ、今日は何周ぐらいかな?」
無言の手塚から次に出される第一声が何かを悟った不二はに目を向けたまま二人に話を振る。
「さぁ・・・・30周ぐらいじゃないかな。」
「俺は40周だと思うっス。」
「50周だ。」
大石と越前の言葉の後に、すっぱりと即答する手塚。
コートの向こう側では、桃に抱えられながら幸せそうに笑う
、桃に脅されてんじゃないの?!」
「違うよ〜!だって・・・・ねぇ?武・・・?」
「そうっすよ菊丸先輩。俺はそんなことしませんって。」
が桃のこと武って呼んでるよ・・・・!!」
そんな向こう側の会話が聞こえてきて、大石・不二・越前が耳を塞げば。


「・・・・・・・・・・・・全員グラウンド60週走って来い!!」


もちろんはそれを免れたのだが。
そのランニングの後、いちゃいちゃラブラブっぷりを発揮すると桃城であった。




END





+あとがき+

いやー終わりましたね雪合戦!
桃の口調がわかりません。(それってダメじゃん。<うん・・・。
手塚さんはすごく悔しかったんですね。
初め『50周』って言ってたのに『60周』に増えちゃってたし。
桃が最後にあんなふうに見せ付けなければ50周でよかったかもですね。

ようやく終わりました『雪合戦』完結に4ヶ月もかかってすいませんでした(汗)
では、ここまで読んでくださってありがとうございました!

         +羽翠 志歩+




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